腸の脳の深い関係。
過敏性腸症候群の諸症状はもちろん、多くの人が経験したことのある「緊張するとお腹が痛くなる」なんて状態も「脳と腸の関係が密接」だからこそですよね?
そこで「第二の脳」とも言われている腸と脳の関係について少し取り上げてみたいと思います。
腸は第二の脳?
- 大腸の働きの基本は「消化された食べ物の水分吸収をしたり腸内細菌により便を形作る」こと
- ただ、それだけではなく「腸独自の神経」があって、腸の神経が脳の神経にも影響を及ぼす
- 逆に脳からの信号も腸の神経に作用して影響している
- このように「腸が独自に動いたり、脳⇔腸の神経がそれぞれ影響しあっている」ことから「腸は第二の脳」と呼ばれている
- さらに「腸は体の免疫機能」にも重要な働きをしていて、免疫細胞の半分以上は腸に存在している
- なので「腸内環境」は全身の(心も体も含めて)健康のバロメーター
もう少し解説
腸の蠕動運動は副交感神経が優位に働いている時に活発に活動をしています。
そして副交感神経と交感神経などの「自律神経は脳で切り替えている」ので「脳が腸を動かしている」ということを考えがちですが、腸は腸内にある独自の神経によって勝手に動くというから驚きですよね?
そして腸が勝手に動く仕組みですけど・・・これは腸内に消化された食べ物が到達することで腸がそれを感知して「腸内のセロトニン」を分泌し、神経伝達物質であるセロトニンによって蠕動運動を促している・・・なんて言葉で書くと少くと少し難しくなりますが、要は「腸は副交感神経の影響を受けなくても食べ物が入ってくると独自に便を押し出そうと動く」ってことになります。
もちろん「腸が独自に動く」といっても「独自でも動く」というだけで、脳と腸は大きく影響しあっているので、過敏性腸症候群をはじめとした便秘や下痢などの排便障害を解消するには腸内環境も心の健康も同時に考えないといけないことになりますよね。
ちなみに「セロトニン」と聞くと「うつ病や認知症」などの病気との関係がパッと思い浮かぶと思いますが、これは「脳のセロトニン」であって「腸内で分泌されるセロトニン」とは働きが違いますよ。
(脳へストレスと腸内でのセロトニン分泌には深い関係はありますが…)
私の勝手なイメージでは・・・「幸せホルモンである脳のセロトニン」はしっかりと増やして、「過剰に分泌されると蠕動運動が促進されすぎる腸のセロトニン」はほどほどに・・・言った感じでしょうか?
(脳のセロトニンは「お散歩などのリズム運動」や「朝起きたら太陽光を浴びる」、「感情を素直に外に出す」、「信頼できる家族や友人を持つ」なんてことで増えてくるのは有名なお話ですよね。)
ですので、腸内のセロトニンの働きを抑えるような処方薬として「イリボー」という男性の下痢型過敏性腸症候群のためのお薬もあるぐらいですからね。
※過敏性腸症候群の下痢型は脳へのストレスによって腸内のセロトニンが多く出すぎて下痢をしてしまうため。
というわけで・・・少し難しいお話になってしまいましたが、「脳と腸の動きには一方通行ではなく相互に深い関係があるけど、腸も独自の神経で動いている」ので、単なる臓器のひとつとしての働き以上のことをしている「腸はスゴい」ってまとめ方で・・・よろしいでしょうか?